PR

接地工事の全て:なぜアースは必要か?種類と正しい施工方法

基礎知識

接地工事の全て:なぜアースは必要か?種類と正しい施工方法

電気を安全に使う上で、私たちの暮らしに欠かせないのが「接地(せっち)」、一般的には「アース」と呼ばれる仕組みです。冷蔵庫や洗濯機、パソコンなどの家電製品にアース線が付いているのを見たことがある方も多いでしょう。しかし、「なぜアースが必要なのか?」「種類があるって本当?」といった疑問を持っている方もいるかもしれません。

本記事では、接地工事の重要性から、A種〜D種までの接地工事の種類と違い、そして接地抵抗値の測定と基準について、電気初心者にも分かりやすく解説します。電気の安全を守るために、ぜひ知っておきたい知識です。


1. なぜ接地(アース)は必要なのか?その重要性

接地(アース)は、電気設備や機器を大地(地面)と電気的に接続する工事です。この仕組みが、私たちの安全を守る上で非常に重要な役割を果たします。

主な目的と役割

  • 感電防止: 機器の故障などにより、通常は電気が流れない金属製の外箱などに電気が漏れた(漏電した)場合、接地しておけば、その漏れた電気を安全に大地へ逃がすことができます。これにより、人が機器に触れても感電するリスクを大幅に減らすことができます。
  • 火災防止: 漏電した電気が、金属製の機器や建材を伝って流れると、そこで発熱して火災の原因となることがあります。接地することで、漏電電流が大地に流れ、回路のブレーカー(漏電遮断器)を素早く作動させ、電源を遮断することができます。
  • 雷対策: 雷が電気設備に落ちた場合、過大な電流を大地に安全に逃がし、機器の損傷を防ぎます。
  • 通信機器の保護: パソコンなどの精密機器に発生するノイズを大地に逃がし、誤作動や故障を防ぐ役割もあります。

簡単に言えば、接地は「逃げ道」です。何か異常があったときに、電気を安全に逃がすための避難経路を確保する役割を担っています。


2. 接地工事の種類:A種~D種の違い

接地工事には、保護すべき対象やその規模に応じて、4つの種類が定められています。これを「A種」「B種」「C種」「D種」接地工事と呼びます。それぞれの違いは、主に接地抵抗値の基準と、保護対象によって決まります。

接地抵抗値とは?

接地抵抗値とは、電気が大地に流れ込む際の「流れにくさ」を示す値です。この値が小さいほど、電気がスムーズに大地へ逃げやすいため、安全性が高いと言えます。単位は「Ω(オーム)」で表されます。

接地工事の種類主な対象設備接地抵抗値の基準(電気設備技術基準)
A種接地高圧・特別高圧機器の金属製の外箱など10Ω以下
B種接地高圧・特別高圧変圧器の低圧側の中性点10Ω以下(例外あり)
C種接地300Vを超える低圧機器の金属製の外箱など10Ω以下
D種接地300V以下の低圧機器の金属製の外箱など100Ω以下

各種の解説

  • A種接地工事: 非常に高い電圧を扱う設備が対象です。万が一の漏電が大きな事故につながるため、最も厳しい基準(10Ω以下)が定められています。
  • B種接地工事: 変圧器(トランス)が対象です。高圧側の電気が誤って低圧側に漏れた場合、その漏れた電気を大地に逃がすことで、低圧機器の電圧上昇を防ぎ、感電事故や火災を防ぐ重要な役割があります。
  • C種接地工事: 産業用のモーターやコンプレッサーなど、300Vを超える低圧機器が対象です。D種よりは厳しい基準(10Ω以下)が求められます。
  • D種接地工事: 家庭用のエアコン、洗濯機、冷蔵庫など、300V以下の低圧機器が対象です。一般家庭で「アース」として知られているのは、このD種接地工事に該当します。基準値は100Ω以下と、比較的緩やかです。

3. 正しい接地工事の方法

接地工事は、専門的な知識と技術を要する重要な作業です。特に、A種、B種、C種工事は電気工事士の資格が必須です。ここでは、基本的な施工手順をご紹介します。

接地工事の主な手順

  1. 接地極の埋設: 接地棒、メッシュ、板など、接地極と呼ばれる導電性の部材を地中に埋設します。この接地極が、電気を大地に逃がす役割を担います。土壌の質や水分量によって抵抗値が変わるため、適切な場所を選ぶ必要があります。
  2. 接地線の接続: 埋設した接地極と、保護すべき機器の金属部分を、接地線(アース線)で確実に接続します。接地線は、緑色や黄緑色の絶縁体で覆われていることが一般的です。
  3. 接地抵抗値の測定: 接地が完了したら、専用の測定器(アーステスタ)を使って接地抵抗値を測定し、基準値内であることを確認します。
  4. 記名・表示: 何の接地工事であるか、記号や表示を施します。

【DIYでの注意点】

家庭用のD種接地工事でも、エアコンや温水洗浄便座など、アース線の接続作業は感電のリスクを伴います。必ずブレーカーを落とし、電源を切ってから作業を行いましょう。また、アース端子がない場所や、接地棒の埋設が必要な場合は、専門の電気工事業者に依頼することが最も安全です。


まとめ:アースは命を守る電気のセーフティネット

接地(アース)は、私たちが電気を安心・安全に使うために欠かせない、いわば電気のセーフティネットです。漏電や雷から命と財産を守るための重要な役割を担っています。

A種からD種までの接地工事の種類を理解し、特に身近なD種接地工事の重要性を改めて認識することが大切です。

電気工事は、正しい知識と資格が求められる専門分野です。ご自身でアース線の接続を行う際も、必ず安全を最優先にし、少しでも不安を感じたら、迷わずプロの電気工事士に相談するようにしてください。

安全な電気環境を整え、快適な生活を送りましょう。

タイトルとURLをコピーしました